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離婚時に財産分与をしたくない…自分の資産を守るためのポイント その2
- 2022.06.14 | お知らせ
離婚時に財産分与をしたくない…自分の資産を守るためのポイント その2
3、相手が把握していない財産は申告しなくてもよい?
財産分与をしたくないと考えている場合、相手の知らない財産であれば、言わずに隠しておけばよいと思うかもしれません。
しかし、財産隠しにはリスクがあるため、たとえ財産分与したくないと考えている場合でも、決しておすすめはできません。
共有財産と特有財産。共有財産はすべて財産分与の対象前提知識として、財産分与の対象となる財産を整理しておきましょう。
・共有財産
共有財産は、財産分与の対象となります。
夫婦が婚姻中に得た財産は、原則として共有財産となります。夫婦どちらか一方の名義で得た財産、たとえば、会社から受け取った給与や退職金、単独名義の不動産なども、共有財産に含まれます(民法第762条第2項)。
また、資産と同様に住宅ローンなどの債務も共有財産として、財産分与の対象になり得ます。
・特有財産特有財産は、財産分与の対象外です。
夫婦の一方が婚姻前から有する財産は、特有財産にあたります。
また、婚姻中に得た財産であっても、純粋に自分だけが得たと評価できる財産は、特有財産となります。たとえば、相続によって得た財産、肉親から贈与された財産などです。
■調査嘱託・弁護士会照会により開示を請求される場合がある
財産分与したくないことを理由に、財産分与の対象である共有財産を隠したとしても、相手から財産の開示を請求される可能性があります。
① 調査嘱託(家事事件手続法第258条第1項、第62条)
財産分与請求調停の手続き内で、裁判所が金融機関等に対して、財産分与義務者の所有する財産について照会を行う場合があります。
② 弁護士会照会(弁護士法第23条の2)
弁護士は受任している事件については、弁護士会に対して、金融機関等に財産分与義務者の所有する財産について照会し、報告するよう求めることができます。
どちらの開示請求についても、請求を受けた金融機関等は原則として開示義務を負うので、たとえ財産を隠したとしても、情報が開示されるおそれがあることを認識しておきましょう。
■財産の開示を怠った場合のリスク
財産分与したくないがために、共有財産の開示を怠り、後でそのことが判明した場合、財産分与がやり直しになってしまいます。
また、不開示によって被った損害の賠償を請求されるおそれもあります(民法第709条)。そのため、たとえ財産分与したくないとしても、共有財産を隠す行為は慎むべきでしょう。
4、ケースによっては財産分与をせずに済む可能性がある?
財産分与は原則として拒否できない旨を解説してきましたが、特別な事情で例外となる場合もあります
■婚前契約を結んでいた場合
結婚する前に、夫婦の財産関係について婚前契約を締結するケースがあります。
婚前契約には、生活費の分担などのほか、離婚時の財産分与の方法に関する規定が置かれることがあり、そのような規定は基本的に有効と考えられます。
したがって、婚前契約で「離婚時の財産分与は一切行わない」と定めておけば、財産分与をせずに済むでしょう。
ただし、婚姻届を提出する前に婚前契約を締結しなければなりません。また、婚前契約を登記していなかった場合は、取り決めた内容は夫婦の承継人や第三者に対抗できないため注意が必要です。