お知らせ
婚姻費用について
- 2022.08.5 | お知らせ
婚姻費用について
離婚協議をする際、今後生活費は一円も渡さないなどのケースは多々あります。
そのような場合に、生活費の分担を求める権利として、婚姻費用(分担請求権)があります。
結婚している間(離婚するまで)は、別居などをしていたとしても、生活における費用は分担して負担するというものです。
婚姻費用は、
1.請求をしないと認められない
2.金額は算定表を参考に
1.請求しないと認められない
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する(民法760条)。夫婦の一方が、その分担義務を果たさない場合、他方は、婚姻費用の分担請求権を有するとされています。
注意すべき点が、この婚姻費用分担請求権は抽象的なものとされているため、その具体的な分担額が夫婦の協議で決められて具体的な請求権となります。
したがって、婚姻費用は相手に請求して初めて発生するものとされており、相手に請求しなければ一切発生しません。早期に請求しておくことが必要です。
弁護士相談せず、離婚協議を行っている場合、婚姻費用の請求がなく、受け取る金額が少なくなってしまうケースは少なくありません。
また、請求する場合、争いになった際にきちんと証拠を出せるよう、LINEや書面などで請求した記録を残しておきましょう。
2.金額は算定表を参考に
裁判所のHPに最新版の婚姻費用算定表が掲載されていますので、その表を参考にして頂ければ、目安の金額が算出できます(子どもの人数・年齢ごとにシートが分かれていますので、ご自身の状況にあったシートをご参照ください)。
ここで悩まれるのは年収をどう算定するかでしょう。
① 給与所得者の場合
給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」の額を年収として算定します。
これは税金や社会保険料が引かれる前の金額であり、手取り額ではありません。婚姻費用の計算では税金なども考慮されますので、間違えないように気をつけましょう。
② 自営業者の場合
自営業者の場合、確定申告書の「課税される所得金額」を参照します。
ただし、これは税法上の控除を受けたあとの金額であり、「控除されたが実際には支払っていない費用」(青色申告控除や家族への給与など)がある場合には、すべて加算して計算するのが妥当でしょう。
これ以外にも、住民税の課税証明書でも「給与収入金額」の数字を確認し、年収として算定することも可能です。
どちらの手段でも、給与所得者と同じく税金などを含めた金額が年収とされます。
双方の年収の算定が終われば、裁判所の算定表の支払う側と受け取る側の年収が交わる箇所を見つけます。
婚姻費用を支払う側(収入が多い側)を「義務者」、受け取る側(収入が少ない側)を「権利者」とし、算定表の縦軸と横軸にあてはめます(給与所得者と自営業者で参照する箇所が異なる点に注意してください。)。
これで婚姻費用の目安の金額が算出されたはずです。いかがでしょうか。
なお、算定表はあくまで基準であり個別具体的な事案によって裁判になった際に認められる額は異なってきます。
条件面で折り合いがつかなかった場合や、話し合いができない、関わりたくないなどの場合には、専門の弁護士にご相談されることをお勧めします。
米盛法律事務所は、福岡県(天神)で離婚問題に強い弁護士がご依頼をお受けしております。
離婚問題のプロが相談者様のお気持ちやお考えをしっかりと聞き、その方に合った方針及び解決法をご提案致します。どうぞお気軽にご相談ください